桜「また来てやる...よ」


徠「え」


桜「パ、パンの!お礼だからな!」



桜舞は顔を真っ赤にして俺にそう弁解する。


別にそんなこと言わなくたって、行きたいって
言えばいいのによ。


素直になれない桜舞がなんだか愛おしく感じて、
俺は桜舞の頭をくしゃくしゃと撫でた。



桜「な、なんだよ」


徠「いーや?なんとなく。また、付き合ってくれよな」


桜「あ、あぁ」


徠「じゃ、帰るか。腹もふくれたし」


桜「次は確か、小テストだっけ」


徠「げ。マジか?」


桜「多分な。照が焦ってたから」


徠「やべ。じゃあ俺も焦んないと、まずいな」


桜「徠はそこまで成績悪くないんだろ?」


徠「あの4人の中じゃ、俺が1番低いんだよ」


桜「え」


徠「まぁクラス平均上位はキープしてっけど」


桜「桜人はともかく、玲空って頭良かったのか?」


徠「んー、どちらかと言うと天才肌ってやつ。
桜人は元々の頭がいいし、
律佳なんかは大体授業受けただけで平気なタイプなんだ」


桜「特技に飽き足らず、秀才って...」


徠「ん?何か言ったか?」


桜「なんでもない」


徠「あれ、そーいや、桜舞は?
小テスト勉強しなくていいのか?」


桜「俺は別にいい」


徠「へー、そこまで自信でもあんのか?」


桜「そういうわけじゃ、ないけど」



2人で教室に向かいながら、
素っ気ない態度で桜舞はそう言った。


けど、俺はなんとなく桜舞の性格が分かってきた。


そう言えば、李利が言ってたっけ。


桜舞本人は何にでも謙虚な態度だけど、
実際はトップクラスの成績を誇ってるって。


桜舞はなんで、そんなに自分を卑下するんだ?


てか、前もそーだったよな。


特技の話になったら、俺にはそんなものないって。


頭、いいのにさ。


俺はもったいないと思っていながら、
何も言わずに桜舞と揃って教室へと戻った。