それから玲空の様子が少し変わったように見えた。


玲空の視線の先には男子とは思えないほどのちっせぇ奴が気分悪そうにうつむいている。


またかよ...。


俺は玲空のお人好しに呆れた。


それから仲のいいだろう女に連れられ、
そいつは教室から姿を消すと、
俺の隣にいる女が猫撫で声で俺に話しかけてきた。



「ねぇねぇ、私ぃ、桜人くんって呼んでもいいかなぁ?」



うぜぇ。



桜「うるせぇよ、話しかけんな」


「ちょっとひどぉーい!」



心外だという顔は何度も厚に塗られた化粧だらけで
俺は流石にうっときた。


しかも教室に漂う尋常ではない香水の匂いに鼻を覆った。


逃げるように立ち上がり、徠の元へと行く。


見れば、律佳が徠のそばでそっぽ向いていた。


あぁ、俺よりも先に逃げてきたのか。


俺は律佳に同情する。


徠はいかにも肉食系な女子に絡まれて
困っている玲空の元へと駆けつけ、
その女から引き剥がした。


ホントそういうところはうまいよな、徠って。


感心しながら俺たちは学校を少し回り、
1時間目の授業を受けた。