桜舞「ここ最近、変ないたずらが増えて、必死に李利が
かばってくれたけど、気づいてた。この仕業は女だって。
けど、負けないって気を張ってた。
律佳に背を向けたくなかったから...。
でも、俺、また負けた...。どうしても怖い。」



俺の目から自然と涙が流れ出る。


泣きたくない。


もう怖がりたくない...。



桜舞「ねぇ、朱里ちゃん...。俺、どーしたらいい?
女の皆が皆、悪い人じゃないことくらい、分かってる。
でも、体が先にそれを拒むから!」


朱「辛かったな...」



朱里ちゃんはそっと俺を抱きしめてくれた。


暖かくて心地いい朱里ちゃんの熱...。


多くを語らせてくれない朱里ちゃんの優しさが
強ばった俺の心を溶かしてくれる。


俺は歯を食いしばって泣いた。


自分が背負った運命を嘆くように。



朱「無理して強くならなくたっていい。克服しなくたっていいんだ。それはお前の特徴なんだから。
いいか?人は無理をすればするほど壊れていく。
それが苦手なものだと尚更だ。無理するな、絶対に」



目と目を合わせて朱里ちゃんはそう語る。


無理をすればするほど壊れていく...。


俺は無理をしてたの...かな。



朱「頼りたい時は頼っていい。俺たちはそれを望んでる。何も遠慮することなんてない」


桜舞「...うん」



俺は頷いた。


朱里ちゃんは満足そうに笑った。


それから帰り際に李利と照が保健室にやって来てくれ、
全部を聞いた。


玲空たちには誤魔化しておいたことも全部。


李利は申し訳なさそうに謝った。



李「ごめん、桜舞!」


桜舞「な、なんで李利が謝るんだよ?」