桜舞「...んっ」



目を覚ますと、目の前に広がる規則正しいタイルの天井。


あれ、ここどこだ?



朱「お、起きたか」


桜舞「あ、れ...朱里ちゃん?」


朱「おー。気分はどーだ?」


桜舞「...なんか重い」


朱「お前、今日はすぐ家帰って休めよ」


桜舞「李利や照は?」


朱「帰した」


桜舞「そっか...」



迷惑かけたな...。


思いのほか、あのいたずらが負担だったみたいだ。


情けな...。



朱「桜舞」



不意に朱里ちゃんに名前を呼ばれて顔を上げる。


そこには真剣な眼差しで俺を見つめる朱里ちゃんの顔が
あった。


俺は思わず息を呑む。



朱「李利から話は聞いた。お前、自分で気づかないうちに色々抱え込んでるだろ?」


桜舞「い、いや...俺は別に」


朱「嘘つくな。李利じゃねぇが、お前といる時間は
それなりに長ぇからな。大体分かる」



俺は諦めた。


確かに、朱里ちゃんに嘘言っても見透かされそ。



桜舞「正直、ここまでなるとは俺も思ってなかった。
無意識にストレスとして抱えてたんだと思う」


朱「そうか...」


桜舞「律佳...館原にさ、話してもらえたんだ。
人嫌いの理由」


朱「...?」


桜舞「酷だった。ひどいと思った。けど、同時に俺も
その『人』なんだって思った。無性に女を嫌って、
こうして気を失うくらいに弱い。女を捨てられるなら
きっと俺は色んな人を裏切る。それくらい汚いって。」


朱「桜舞...」



朱里ちゃんはひどく辛そうな顔をする。


でも俺は止まらなかった。


止められなかった。


色んな抱えていた想いが溢れていく...。