その惨状を目にしている私や朱里、照は
もう2度あんな悲しい桜舞の姿を見たくなかった。


桜舞は何も悪くないのに...。



朱「大丈夫さ。お前らがそばにいてくれるだけでも
桜舞のためになってるはずだ」


照「そう、かな」


朱「照、お前はもう少しで大会だろー?元気だせって!
この件に関しては俺も探りを入れておく。
だから今日は2人共ゆっくり休め。いいな?」


照・李「「...うん」」



朱里は満足そうに頷いて、私たちの頭を撫でた。


優しくて暖かい朱里の大きな手。


涙が出そうになるくらい、ホッとした。


1番先に頼ったのがお兄ちゃんでよかった...。



李「ありがと、お兄ちゃん」


朱「お、おう!」



私は涙を浮かべた笑顔で朱里にそう言った。


朱里も何故か照も顔を赤くして、戸惑っていた。


...変なの。


それから、私と照は何事もなかったように
授業へと復帰した。


玲空たちは何かあったのかと聞きに来たが、
気分が悪かったとだけ伝え、桜舞は急用ができて
早退したと誤魔化した。


ただ1人、律佳だけは納得してないような顔つきだった
けど、これ以上は深入りをしてこなかった。


律佳もきっと薄々勘づいてる...んだろうな。



照「李ー利っ!」


李「どーしたの、照」


照「帰りに保健室に寄ってこーよ!」


李「照、部活は?」


照「あるけど、桜舞の方が大事だもん!」


李「...そっか」


照「ホント、李利は桜舞が大好きだよね」


李「うん」


照「なんか妬けちゃうな」


李「え、なんで?」


照「なーんでもないよ!」


李「なにそれ。...ありがと、照」


照「...うん」



照の嬉しそうな満面の笑顔はスッと私の心を軽くさせた。