私はほぼ無理やりその会話を終えさせ、桜舞の手を取って
教室を飛び出した。


その時、照に時間を稼ぐように目配せをしながら。


照はムスッとしながら渋々頷いた。


後で、照には全部話しておこう。



桜舞「...うっ」



途端に桜舞がしゃがみこんで口元を抑えた。


やっぱり我慢してた...。



李「もうちょっとだから、頑張って」



私はそのまま桜舞の手を引っ張って、保健室のドアを
思いっきり開ける。



朱「うおっ!?誰だー?ノックくらい...桜舞っ!」



ドアの入りたての場所に気分悪そうにしている桜舞を
見つけるなり、朱里は飛んできた。


そして、桜舞を抱えてベッドに寝かせる。


それでも桜舞は両肩を掴んで震えている。


私はそんな桜舞の姿を見ていられなかった。



朱「桜舞...今日はもう休め」


桜舞「朱、里ちゃ...ん?」


朱「ここには俺と李利しかいねぇから」


桜舞「ご、め...」



短く謝罪の言葉を述べながら桜舞は意識を手放した。


でもその表情は辛そうで、脂汗がにじんでいた。


朱里が冷やしたタオルを桜舞の額にのせる。


私の視界がだんだんぼやけていく。


気づけば、私の目から涙が流れ出ていた。



朱「何があったんだ?」



朱里はゆっくりと私に近づいて、頭を撫でた。


普段はそんなこと絶対にさせないけど。


私は朱里に今までのことを全て洗いざらい話した。


朱里はゆっくりと私の話を聞きながら、苦い顔をした。



朱「そうか...。面倒なことになりやがったな」


李「うん...」


朱「逢隈たちといた方が桜舞の心の気休めにはなる。
だが、取り巻きはそれを許さない。ましてや桜舞は
極度に女嫌い...か」