徠「多分桜舞に自分の過去を話したんだと思う」


桜人「あぁ」


徠「俺、正直驚いた。あの律佳が誰かに自分のことを話すなんて思ってもみなかったからさ」



まぁ確かにな。


律佳と最初出会った頃は俺も律佳も深く関わるつもりは
毛頭なかった。


特に律佳は今よりも極度に人嫌いだったし。



徠「嬉しかった。律佳も変わってきてることが分かって」


桜人「その割にすげぇキレてたくせに」


徠「仕方ねぇだろ?心配したんだから」


桜人「桜舞がいなかったら、やばかったけどな」


徠「あぁ...」



徠はゆっくりと寝ている桜舞を見る。



徠「李利も桜舞も照も...色々吹っ切れたらいいんだけど」


桜人「お前は人の事考えすぎ」


徠「桜人はもう少し人の事、考えるべきだ」



俺たちは顔を見合わせて、クッと笑いだした。


これだけ柔らかくなったのは紛れもない
桜舞と出会ったからだ。


あどけない純粋な桜舞の寝顔を見つめる。


その姿を見ていたからか、心なしか眠くなってきたな。


俺はふわっとあくびをする。



徠「眠くなったか?」


桜人「少しな」


徠「寝てもいーぜ?俺はまだちょっとやっとくからさ」


桜人「いーや?俺も付き合うって言っただろ」



更けていく夜の中、俺と徠は教材を開いて
勉強に励んでいた。


ピピッと時計が12時を過ぎたことを知らせると、
やっとのことで徠がウトウトと寝こけ始めた。


こいつ、誰かいねぇと無駄に気を張って頑張るからな。



桜人「俺も眠くなってきたからそろそろ寝よーぜ」


徠「...ん」



徠はその場に寝転んで、すぐに意識を手放した。


俺はクスッと笑って、電気のリモコンを手にし、
部屋の明かりを切った。