「初めまして!私ぃ、杏って言うんだ!よろしくね!」


玲「うん、よろしく」


「ねぇねぇ、玲空くんって呼んでもいい?」


玲「うん、構わないよ」


「やったぁ!私のことは杏って呼んで?」


玲「わかった」



特に何も思うことなく、彼女と話を続けていると、
HRが終了し、保健室から先程の少女が戻ってきた。


彼は戻ってこなくて、本当に具合が悪かったんだろうな。



玲「さっきの男の子、大丈夫かな?」


「え?さっきって?」


玲「さっきの保健室に行った子だよ」


「あぁー。気にしなくていいと思うよぉ?
あの子、変わってるしぃ?」



変わってる...?



玲「変わってるって?」


「えー?いいじゃあん、そんなこと!
それよりも杏の話しよぉ?」



すぐに次の話をし出す杏に思わずやれやれと
肩をすくめていると、それを見越した徠が
俺に話しかけてきてくれた。



徠「今いいか、玲空?」


玲「うん。ごめんね」


「えぇー?」


玲「ありがとう、徠」


徠「いいって。俺も桜人も律佳も同じ目に
遭ってたところだからさ」


桜「うぜぇ...」


律「...」


玲「あぁ...。まさか、こんなに注目されるとは
思っていなかったよね」


桜「つーか、ここ香水臭ぇ。
さっきの奴もこれで保健室に行ったんじゃねぇの?」


徠「マジで気分悪そうだったしな」


律「気持ち、わかる」


玲「うん...。大丈夫かな?一応同じクラスメートだし」


徠「そのうち戻ってくるんじゃね?
それよりも1時間目始まる前に学校を見とこーぜ」


玲「それもそうだね」



徠の提案で俺たちは
少しだけ、この学校を見て回ることにした。


音楽室や美術室...食堂などなど。


どれも綺麗で使いやすそうだった。



律「あれ、なに?」



途端に律佳がまだ確認していなかった部屋を指さす。


見るとそこには保健室と書かれてあった。



徠「あ、ここが保健室なのか」


桜「意外と近いんだな。サボる時使お」


玲「サボる前提で言わないの」



もしかしたら、彼はここにいるかな?


そう思いながらも、扉を開ける勇気が無くて、
俺は桜人たちと教室に戻った。


1時間目の終わりまで彼は帰ってこなかった。