両親は病弱だった兄の世話を任せるために
俺を引き取ったらしい。


つまり俺は期限付きの都合のいいおもちゃだった。


それが分かった時、とてつもなく怖くなった。


家族の意味を俺は分からなくなった。


いつか捨てることを分かっていて、
どうして皆、そんな笑顔になれるの?


どうして家族が欲しいの?


また捨てられちゃうよ。


おもちゃにされちゃうよ。


ねぇ、助けて。


その声は届かなかった。


あらゆる人間が俺に手を伸ばそうとしては
諦めて行った。


その全てが口を揃えてこう言うんだ。



『可愛げの無い醜い子』



それを言われる度、俺は人間がとても怖いものに
思えて仕方がなかった。


どんなに平然や笑顔を取り繕っても、
俺にはその裏の顔が見えた気がした。


信用出来なかった。


そんな時、今の両親に出会った。


玲空を連れて。


俺の今の両親は玲空の両親の親友だったんだって。


長年子供がいなくて、悩んでいたところに
玲空の両親が児童保護施設はどうかって勧めたんだ。


俺は最初から信じてなかった。


端っこに座って、じっと空を見上げていた。



玲『ねぇねぇ!君もおそら好き!?』



話しかけてきた玲空はキラキラとした目を俺に向けて
ニコッと笑った。


俺は嫌になった。


そんな輝いているあいつの前にいることが。


俺はめいいっぱい玲空を突き飛ばした。


それでも玲空は笑って俺の後ろを付きまとってきた。



律『なんでついてくるの!?』


玲『だって、かなしそうだから』



玲空は本気でそう思ってたんだ。


俺は初めて会ったばかりの奴に全てを見透かされて
気味が悪くなって、それでも玲空を睨むことが
出来なかった。