コンビニを出て、徠の家までの道を静かに戻る。


律佳はおぼつかない足取りで俺の後ろをついてくる。



桜舞「...怖いか?」


律「えっ!?」


桜舞「律佳は俺も怖い?」



律佳は驚いた顔をする。


俺はその目をじっと見つめた。



律「...うん」



律佳は悔しそうに顔をうつむけながら、そう頷いた。



律「でも、他の人とは違う。俺、桜舞はその...」


桜舞「無理しなくていーよ。なんとなくその気持ちは
俺が1番に分かるしな」


律「そっか...。...ねぇ、桜舞。聞いてくれる?」


桜舞「うん」


律「俺が人嫌いの理由」


桜舞「うん」


律「つまんないって思うかもしれない」


桜舞「別に思わないよ」


律「桜舞には自分の口で伝えたいって思ったんだ。
桜舞は俺を助けてくれた。嬉しかった。ホントに。
今日だけじゃなくて、この間も。
ホントはあの時、言おうって思ったんだ。初めて。
でも、桜舞もきっと俺と同じような想いを抱えてる。
それは本当に信用していなくちゃ話したくない。
だから、俺が桜舞を支えられるようになったら、
桜舞が俺を必要としてくれるようになったら、
話そうって思ってた。」



律佳も戦ってたんだな...。



律「俺が話すことは...俺が人嫌いになった理由。
これは俺の自己満足でもあるから...桜舞は気にしないで
いいよ」



律佳はへらっと笑う。


まださっきの余韻でも残っているのだろうか。


俺はムッとして、律佳との距離を縮めた。


そして、律佳の瞳を射抜く。



桜舞「気にする。お前の自己満足にすんなよな」



少なくとも俺は...初めて聞きたいって思ったから。


律佳は少しだけ嬉しそうに笑った気がした。