燻る紫煙

そこには、子供と楽しそうに遊ぶ、

あの人の姿があった。

私はその光景を見て、全身の力が抜けるようだった。

子供と遊ぶあの人の姿は、私の頭の中にあるあの人の姿とは別人だった。

今までに見たことのないような笑顔。

私には見せたことのない表情。

あんな、

あんな顔するんだ……

それを目の当たりにして、

私は、

何をしていたんだろう。

何をしようとしていたんだろう。

と、ふと、我に返るようだった。

私は、あの人の別の生活、

いや、現実を見て、

あんな幸せそうな、親娘の、家族の、絆を、

壊そうとしていたなんて、

そして、

決して、

壊してはいけないんだ、

と、

そう、

悟った。

そして、

今まで燃え上がっていた、

私の、あの人への想いは、

あっけなく、

泡のようにはじけていった。