燻る紫煙

あの人と会うのは、何日ぶりだろうか。

久しぶりに見るあの人は、少しやせたようだった。

「もう、会ってくれないかと思った……」

あの人は、私の部屋に入ると、そう言って私を抱きしめた。

「……会いたかった」

私はそう言うと、ふと涙がこぼれそうな気がして、

思わずうつむいた。

あの人は、そんな私の顔をそっと上に向けて、

そのまま顔を近づけてきた。

あの人のやわらかい唇が、私の唇に触れる。

長く、長く。

なんだかもう離れられないのではないかと思うほど。

「ごめん、俺、もう、」

あの人がそう言うと、私たちはソファに倒れこんだ。

そっと、壊れものを扱うように、

あの人の手は、指は、唇は、私に触れた。

もっと、もっと。

壊れてしまってもいい。

もっと強く、強く、抱きしめてほしい。

確かに、

あの人はここにいるんだと、私を抱きしめてくれているんだと、あの人を全身で感じたい。

こんなに、こんなに好きだから。

あの人の熱を感じながら、

小刻みに震える自分に気づいた。

こんなに、

愛してる人に抱きしめられることが、

こんなに幸せだなんて。

私の居場所は、あの人の腕の中。

それ以外は、もう考えられない。