燻る紫煙

どのような文面を送ったのかは覚えていない。

連絡が遅くなってすみません、

といったような内容だったかと思う。

私が送信してから1、2時間たった頃、

彼からLINEが返されてきた。

返事、どうもありがとう

今度食事にでも行きましょう

こうして、私と彼は会うこととなった。

あの人以外の男性と、正面から向き合えるのか、多少の不安はあったが、新しい第一歩を踏み出さなければならない、

私はそう思い込んでいた。

そして、

その週の日曜日、

私と彼は初めて会った。

彼は私の家の近くの駅まで車で迎えに来てくれ、住宅地の一角にある、小さなレストランでランチをした。

彼はとても穏やかで話しやすく、

初めて会うような感じがしなかった。

「もしよかったら映画でも……」

食事が終わった後、彼がそう尋ね、私は喜んで承諾した。

久しぶりの、休日の、普通のデート。

カップルなら当たり前のことだけれども、

私には新鮮だった。

私は、

自然にあの人と彼を重ね合わせていた。

あの人と一緒にいる時は、自分が自分でなくなるような熱い気持ちになる。

彼と一緒にいるこの時間は、とても温かく満たされるような気持ちになる。

普通の、穏やかな幸せ。

彼と一緒なら得られるかもしれない。

私はそう考えていた。