「相馬くん、おはよう」

 駅で最近いつも会う姿を認めて、声をかけた。

「おはよう。武田、まだ?」

 ホームと見回して屈託なく笑うのは、相馬くん。別の高校だけど中学1年、3年と同じクラスだった男子で、年度始めの頃から時々駅で会うことがあって、最近はほぼ毎日一緒になる。

 あまり男子とは仲良くなかった私だけど、相馬くんは1年生の時に席が隣りだったから、割と話しやすい方だった。私1人なら顔を合わせても話すこともなかったかもしれないけれど、いつもは武田が一緒に居るから、自然と話すようになっていた。

「まだ居ないみたいだね。電車来ちゃうけど……」

 電光掲示板を見あげれば、前の駅を出た旨が表示されていた。

「武田来ない時は待ってるの?」

「ううん、待たなくても大丈夫だと思うけど……」

 武田と一緒に登校しようと約束をしているわけではない。ここで一緒になるから一緒に学校へ行っているだけのはずだけど、待ってた方がいいのかな?

 どうしよう? と考えているとすぐ傍らから武田の声がした。

「はよ。ギリ間に合った」

「おはよ。……武田、なにかあった?」

「いや、なんもないけど」