璃々視点

何となく仕事で行き詰って

前に見つけた素敵な丘で夕日を眺めていた

一人でいたはずなのに、いつの間にか変な男が立っていた

盗撮でもしに来たのか?

颯「やあ、こんなところで何してるの?」
璃「…盗撮魔?」

これが彼との出会いだった

颯「俺は桜川颯」 
 「君の名前は?」

私の事、知らない人がいるなんて

璃「私の事、知らない人がいるんだ」

何てつぶやいてしまった

璃「芥川璃々」

本名でいいだろう

この人とはプライベートの友人になりたいから

颯「璃々さんはこんなところで何してるの?」

さん付け…

あんまり好きじゃないな・・・

ここはちゃんと言っておこう

璃「さん付けはやめてくれる?」

しまった!

これじゃ怒ってるみたいかな・・・?

璃「あの、別に怒ってるとかじゃなくて、さん付けが嫌いで…」
颯「じゃあ璃々?」
璃「うん」

怒ってないみたいでよかった

颯「で、璃々は何してるの?」

うーん、何してんだっけ?

璃「別に、何となく夕日を見てるだけ」
 「そっちは?」
颯「俺は普通に夕日を見に来ただけ」
璃「ふーん…」

変な人、と思った

でも、この人、変な人だけど面白い

璃「ねえ!」

私はいきなり横を向く

璃「また、会えるかな?」

彼はびっくりしたような顔

璃「別に、さっきのは誘ってるとか、そういうのじゃなくて…」
 「私、人との縁は大事にしたいの」
 「だから、君と会いたいなって」

恥ずかしくなって声がしぼんでいく

颯「会えるよ」

彼がそう言ってくれたから私は顔を上げることが出来た

颯「またいつか」
璃「うん、そうだね!」

私も本当にまた会える気がした

璃「またいつか!」


そういって彼と別れた後、なじみのバーに行くことにした

いい気分の時は大好きなお酒を飲むことに限る!

カラン、と少し重たいドアを開ける

彼に会うのは二回目だった