百合はバンと机を叩き、「うるさい!」と言って私を睨みつける。

「私、一生懸命勉強したよ!勝手に決めないでよ!」

「何よその言い方!!私だって、赤点だって知ってるから別にアンタのテスト結果なんてどうでもいいんだからね!!」

「じゃあ見なきゃいいじゃん!」

「アンタが惨めったらしくてかわいそうだからよ!感謝しなさいよね!」

……こんな風に教室で大ゲンカをして、それ以来百合とは話していない。気がつけばあのケンカからニ週間が過ぎようとしている。

普段大人しくて優しい百合が怒るなんて、本気で嫌だったんだろうな…。いやいや、私は悪くない!悪いのは赤点取った百合だし!

そんなことを思いながら教室の窓から外を見ていると、「おい」と声をかけられた。

「買ってきたぞ」

この男子は山岡奏史(やまおかそうし)。私の家の近所に住んでいる友達。そして私のクラスメート。

昼休みに購買でパンを買ってきてくれと私はよく奏史に頼む。もちろんお金は渡すよ。

「これお前のな」

奏史はメロンパンを私に手渡し、自分は焼きそばパンを食べ始める。

「ありがと」