「なんでそんなこと言うの?」 顔を下げたわたしの向かいから、低い声でそう呟いたのが聞こえた。 どちらかというと可愛い系統に分類される彼からは、聞いたことのない、男の人の、声。 「なんでって・・・」 そんなの、君が好きだからに決まってるじゃんか。 なんて、言葉には出せないけど。 そうっと顔を上げると、穏やかないつもの顔の中に、静かに怒りを含めているのが見えた。