今夜、月に煌めく頃に【短編】

それは古来より森の妖たちに受け継がれてきた禁忌の掟。

破って仕舞えばどうなるかわからない。

その掟の1つが「共である人間は夜の森に入れないこと。たとえ自分の意思に背いてでも」

私が森に入ったことで彼は掟を破ってしまった。

それがつまり何を意味するのか私にも彼にもわからない。

「ごめんなさい」

「しょうがないさ、とりあえずここでじっとしておいて。俺はあいつを倒す」

「たかが九尾のガキが俺にかなうと思っているのか」

「天狗とも良好な関係を築こうとしていたがそれは父の代で打ち切りだ。お前だけは許さない」

「天狗を倒すのか」

「違う!!俺が倒すのは悪妖だ!」

そういうと九尾はまるい霊魂を9つ作って天狗へと投げた。

天狗は器用に翼を使うとひょいひょいと避けた。

「貴様のようなガキにやられるわけなかろうが」

天狗はそう言うと羽団扇を一振りした。

九尾は私を抱えて羽団扇の風の吹かない方へと飛んだ。

側から見たらなんのみてくれもない風だが、私のいた場所にあった木はあっという間にズタズタの切り刻まれてしまった。