今夜、月に煌めく頃に【短編】

「ぐあぁっ」

突然強い風が吹き天狗が吹き飛んだ。

肩には切り傷がついておりそこから真っ赤なドロッとした血が伝っていた。

柔らかい着物は少しずつ赤く染まっていき黒百合の柄をだんだんと隠し始めた。

そうして月の光が照らし始めた。

「俺の友達に手ぇ出さないでもらえる?」

気づくと目の前には彼がったていた。

金色の瞳をして青いアサガオの甚兵衛を着た黒髪の彼が。

狐の耳と9本の尾っぽ、赤く縁取られた目元。

九尾だ。

「その姿」

「言ってなかったっけ?俺九尾の一族なんだよね」

九尾はこの森を支配する妖だ。

森の秩序を守るため、森の掟を決めている妖怪だ。

「破っちゃったな、森の掟を」

森の掟。