今夜、月に煌めく頃に【短編】

「おはよう」

「おう、早いな美桜」

「ちょっとね、あんたも相変わらず早いわね」

そう言って私が少し微笑むと彼も一緒になって笑った。

教室の中にかすかに桜の匂いが香った。

「もうすぐ春か?」と言って窓を閉めた。

私は席に戻ってカバンの中からある小説を出してしおりのはさんであるページを開くとパラパラと読み始めた。

彼が席についたときにカバンについていた鈴がチリンと教室に響いたが私は本に集中して聞こえてはいなかった。