今夜、月に煌めく頃に【短編】

私は目を瞑った。

少しして目を覚ますと夕暮れの森の中を立っていた。

何をしていたか全く覚えていなかった。

その時は。

大人になって行くにつれてだんだんと思い出すようになった。

きっと妖を見る力が強まっているからだろう。

最近では幽霊も含め“視える”ようになった。

あれから7年の間に色々かわってしまった。

森は伐採されて高いビルとデパートなどが立ち並んだ。

木材で作られていた家はコンクリートや鉄筋に変わり、マンションも増え街は前とは比べ物にならないほどに盛んになった。

それでも私の心は7年憂鬱だった。

思い出したいのに思い出せない。

そんなことを思い出していると不意に後ろのドアからガラガラっという音が聞こえて無愛想な少し焼けた肌のツリ目の背が高い青年が入ってきた。