今夜、月に煌めく頃に【短編】

「何故だ」

「遊びたかったんだ」

彼は何も言わず私を守ってくれた。

理由も聞かずただただ助けてくれた。

そーゆー人だった。

「森の禁忌が犯されたらどうすべきかわかるよな」

「はい」

「この子の森のすべての記憶を消す」

消す?記憶を?

「なんのこと?」

私は本当に何が何だかわからなかった。

混乱していた。

「お前の記憶を消さなければならない。それはこの森の掟だ。例外はない」

彼の父さんは険しい顔で私に言った。

そして大きな掌を空に向けて琥珀色の魂の球を作り出すと私に向かってゆっくりと歩いてきた。

「待って!」

彼が叫んだ。

悲しそうな顔をして私を見つめながら小さな声で「待って」と呟いた。

そして私の前までくると泣きそうな目で私に言った。

「どこにいても必ず見つける、少し長いかくれんぼだから」

彼は私の手を握った。

私と同じくらいの大きさの温かいぬくもりのある手。