……………………

沈黙が流れる。

「遡夜」「智也」

声が重なる。

「……遡夜からお先にどうぞ」

「いや。俺はあとでいいよ。智也話を聞かせて。」

「わかった。ありがとう。」

そして智也は決意の目をこちらに向けた。そしてこう言った。

「僕は………和奏が好き。遡夜も和奏のことが好きだってことはわかってる。和奏が遠くにいっちゃったことも。でも……僕は、諦められない。諦めたくない。……ごめんね。」

「なんで謝んだよ。仕方ないだろ、恋っていうのは抑えられないもんなんだよ。それに…………俺はもういいんだ。和奏に気持ちを伝えられただけで十分。」

そして俺は一呼吸置いてこう言った。

「俺さ、上京しようと思ってんだよね。」

「え………なんで?!」

「俺さ、本格的に音楽がやりたいんだ。そのためにはやっぱり上京するのがいいと思った。それだけ。」

「いつ……いつ上京する予定なの…?」

「ここを卒業したらすぐ行こうかと思ってる。だいたい住む所の目星もついたし。」

「……………そっか。」

智也が困ったように笑う。

「応援するよ。………それが遡夜のやりたいことだもんね。」

「ああ。で、お前はどうするんだ?」

「え………?」

「俺の本題はここからだ。お前は何をしたいんだ?これからどうしていきたいんだ?俺達ももう高校二年生だ。将来のことを少しずつ決めていかなければならない。」

「僕は…………」