「ありがとう、夏帆…。私のために泣いてく

れて。」

私は、手を握り返し優しく微笑んだ。

「夏帆がいてくれて良かった。だってこうし

て、一人で考えずにすんだから…。」

温かい風が、私の背中を前に押すように吹い

た。

まるで、私の心の中にまで風が吹いてくるよ

うな、清々しい気分になった。