ピンポン

玄関を、あけると
父親位のおじさんが立っていた

「璃子ちゃんびっくりしたな」

この時たぶん浅川さんは知っていたんだと思う
両親がこの世にいないこと。

〇〇〇病院とは浅川さんの勤める病院だった

車には18歳の少年も乗っていた。

病院に着くと。
霊安室に、案内された

「え?ここなに?病室は?」

「ごめんな、璃子ちゃんお父さんとお母さんは亡くなったそうだ。天国に行ってしまったようだ」
浅川さんは言葉を選んで言ってくれたけど

「分かんない分かんないわかんないよー」
盛ってきた肉じゃがとサラダを投げて泣き叫んだ。

浅川さんは、両親の、顔を見せてくれなかった。

少年は暴れ泣き叫ぶ私をそっと抱きしめる
胸元が私の涙で濡れた。

両親は判別がつかないくらい酷い怪我を負って運ばれたそう。
父が母を守るように抱きしめた形だった

と言うことは中学生になってから
教えてもらえた。