2人兄弟の俺達は、年も1つしか変わらなくて、まるで双子みたいによく似ていた。

顔も性格もよく似てるし、挙げ句の果てには初恋の相手まで一緒だった。

俺達はすごく仲がよかったし、俺よりも何でも上手くこなす兄貴は、いつも俺の目標だった。

俺の自慢の兄貴、鈴木湊人。

そんな兄貴は、もちろん勉強もできる。

そして、勉強と同じくらい、いやそれ以上にサッカーが上手い。

大学のサッカー推薦をもらったのに、兄貴はそれを蹴って医学部を受験し、合格した。

もったいないような、もったいなくないような。

まあ、兄貴なら立派な医者になるんだろうな。

当たり前にそう思っていた。


……バカじゃないの?

俺のバカ兄貴は、俺が大学生になった今年の夏、突然帰らぬ人となった。

居眠り運転で信号無視したトラックに、横断歩道で突っ込まれた。

即死だった。


医者になるんじゃなかったのかよ。

ずっと俺の目標でいてくれるんじゃなかったのかよ。

……奈々ちゃんに、もう一度会いたいんじゃなかったのかよ。

なに死んでんだよ。

本当に、バカじゃないの。