初恋をもう一度。【完】


朝からやけに暑い1学期最後の日、体育館で終業式が行われた。

式辞って言うの? 校長先生の内容薄いくせにやたら長い挨拶の間、俺は2年生達がいる方ばかりに視線をやっていた。

でも、人がいっぱいい過ぎて、奈々ちゃんのことを見つけることはできなかった。

最後にひとめ会いたかったな。

なんて、この間最後だと決めていた筈なのに、タラタラと未練がましい。

終業式が終わってから、教室に戻った。

先生が「今日で鈴木くんがお別れです」って言い出して、俺は前に出て挨拶をさせられた。

こういうの苦手なんだけどな。

人前で話すのがじゃなくて、お別れとか湿っぽい感じ?

そういうのはすごく苦手だ。

奈々ちゃんと離れるのも嫌だったけど、クラスのみんなと離れるのももちろん嫌だった。

だって、クラスメイトの半分は小学校から一緒。

瞬みたいに、幼稚園から一緒だったやつらも何人かいる。

離れるのが淋しくないわけがない。

でも、そういう淋しい空気になるのは嫌だから、ちょっとふざけた感じで挨拶して終わらせた。