初恋をもう一度。【完】


コンクールが終わった放課後、俺は第2音楽室に行った。

もちろん、奈々ちゃんに会いたいからだ。

ここでまた奈々ちゃんに会える可能性なんて、限りなく0に等しい。

特に今日は、吹奏楽部も休みらしくて、音楽室や準備室には全く人気がない。

ま、そんな都合よく会えるわけないか。

でも、ここに来てまた会えることを期待することくらいしか、俺にはできない。

本当なら会おうと思えば会いに行けるのに、変な嘘をついてしまったせいで、これしか選択肢がなくなってしまった。

なんであんな嘘ついちゃったんだろう。

バカみたいだ。

でも、こんなバカみたいな俺にも、神様は奇跡というプレゼントをしてくれた。

奈々ちゃんが、第2音楽室に現れたんだ。