初恋をもう一度。【完】


名前を呼ばれたから友達だと思って見たら、全然知らない子だった。

……いや、そんなことより。

その子がすごく可愛くて、思わずドキッとした。

真っ直ぐ切り揃えた前髪の下に、ビー玉みたいに大きな二重の目。

真っ白な肌に、ツヤツヤの長い黒髪。

大人しそうというか控えめな感じだけれど、とにかく可愛い。

「お、同じクラスの鈴木くん……だよね?」

いや、俺のクラスにこんな可愛い子はいない。

「わたし、クラスメイトの…田崎奈々です」

やっぱり聞いたことのない名前だ。

あれ、今、同じクラスの鈴木くんって言ったよな。

もしかして。

「…………あー」

この子、たぶん兄貴と間違えてる。

そういえば俺、今眼鏡してないし、部屋薄暗いし、間違えられても仕方ない。