「田さ………な、奈々ちゃん!」 終業式の日、俺は帰ろうとした奈々ちゃんを呼び止めた。 ずっと呼びたかった、下の名前。 彼女を「奈々ちゃん」と呼ぶのは、きっと最初で最後だ。 でもこれは、俺の言葉じゃない。 彼女の『鈴木くん』……理人の言葉だ。 「えーっと…… あの…………またね!」 でも口から飛び出したのは、俺の本音だった。 またね。 いつかまた会いたいな。 たとえ俺が、奈々ちゃんにとっての『鈴木くん』じゃなくても──。 *****