こないだの放課後、職員室に呼ばれた恩ちゃんを待ってる間、同じクラスの充希と竜二と喋ってたら、クラスの女子の誰が可愛いかって話になった。
「湊人は? 誰がいいの?」
「俺、奈々ちゃんがいいな」
素直に答えたのは、多分「奈々ちゃん」って口にしたかっただけ。
未だに呼べてないから。
奈々ちゃんとは相変わらずよく目が合う。
前は俺もすぐ目を逸らしてしまってたけど、今は目が合ったら少し笑うようにしてる。
だって、あんな『真実』を知ったら、奈々ちゃんに他人行儀なんてできない。
今までどれだけ寂しい想いをさせてしまったんだろうと思ったら、つい笑顔を向けたくなる。
俺が笑うと、奈々ちゃんははにかんだ笑みを返してくれる。
もっと早くこうしておけばよかった。
……でも。
奈々ちゃんは、俺を通して「誰」を見てるの?
俺はきっと、奈々ちゃんの知ってる『鈴木くん』じゃない。
俺は奈々ちゃんと、放課後に第2音楽室でピアノなんて弾いてないよ。
「湊人は? 誰がいいの?」
「俺、奈々ちゃんがいいな」
素直に答えたのは、多分「奈々ちゃん」って口にしたかっただけ。
未だに呼べてないから。
奈々ちゃんとは相変わらずよく目が合う。
前は俺もすぐ目を逸らしてしまってたけど、今は目が合ったら少し笑うようにしてる。
だって、あんな『真実』を知ったら、奈々ちゃんに他人行儀なんてできない。
今までどれだけ寂しい想いをさせてしまったんだろうと思ったら、つい笑顔を向けたくなる。
俺が笑うと、奈々ちゃんははにかんだ笑みを返してくれる。
もっと早くこうしておけばよかった。
……でも。
奈々ちゃんは、俺を通して「誰」を見てるの?
俺はきっと、奈々ちゃんの知ってる『鈴木くん』じゃない。
俺は奈々ちゃんと、放課後に第2音楽室でピアノなんて弾いてないよ。



