毎日暑くてやってられない。

栃木ってそこそこ北にあるのに、夏は夏で普通に暑いから困る。

転校は1学期の終わりに決まった。

毎日学校行って授業を受けて、放課後は部活に出る。

もうすぐ転校するからって、何が変わるわけでもない。

変わったことといえば、引越しの荷造りを少しずつやり始めたことくらいだ。

ちなみに全然はかどらなくて、母さんに怒られている。

何故か弟の分も俺が怒られるから理不尽だ。


奈々ちゃんのことも好きなまま。

もうお別れだからって、急に好きじゃなくなるものでもない。

きっと転校して向こうに行っても、しばらくは忘れられないんだろうな、と思う。

いや、ある意味一生忘れないな。

俺の初恋は、衝撃の真実が隠されていた上に、転校なんていう強制終了な結末を迎えるのだ。

初恋のくせに、何ひとつ甘酸っぱくない。

せめて転校する前に、好きだという気持ちを伝えたいけど。

……俺が奈々ちゃんに伝える「好き」に、意味なんてあるのかな。