「はぁ、はぁ、」

切れる息を整える。だが、のんびりはしていられない。

自分の家の前まで来た私は、急いでポケットから鍵を取り出す。しかし…

「あれ、鍵がない!」

一人暮らしの私にとって、鍵がないのは致命的だった。

しかし、今はのんびりしていられない。

ひとまず家をあとにして、街へと走った。

街には変わらずたくさんの人が行き交っていた。

いつもと変わらない風景。

でも、私は変わらなければならかった。

ひたすら、周りを見渡した。話しかけられる人を探した。

しかし、せわしなく歩く人達に声をかけるのは流石に気が引けた。

そんな時、遠くに見えた、人影。

考えている暇などなかった。一刻も早く確かめたかった。

「ねえ!」

驚いた様子でこちらを見る3人の女子。

その女子とは、あの日、空と出会った日。
私に対して悪口を言っていた、あの3人だ。

正直、怖いし、話したくない。

でも、きっと空は今も待っている。

なら行動するしかなかった。