今日はこう君の誕生日。クッキーを焼いて病室に向かった。

「こう君ハピバ!今日はこう君の誕生日だからクッキーを……」

そう言う前に私は状況を把握し、言葉を飲み込んだ。
だって、そこにこう君はいなかったから。

「え………?」

病室にかかっている掛け時計がむなしく音を立てて時を刻んでいる。私は5秒ほど固まったが、ある考えを強引に頭に浮かべた。

『こう君は退院した』

そういえばこう君、疲れていただけだって言ってたからそろそろ退院してもおかしくない時期だ。私はそう自分に言い聞かせて病室を後にした。