僕が目を覚ますと、目に飛び込んできたのは異様な光景だった。

見慣れているようで、そうでない景色。

僕が真っ先にわかったことといえば、ここが病室だというただそれだけ。


不安と恐怖が入り交じる、暗い感情。それと並ぶかのように、僕の目にも鮮やかな色は映らなかった。

いくら見渡しても、見えるのは 白、黒、灰色、青、緑 といった暗くどんよりとした色だけ。


パニックになった頭でいくら考えてみても、理由はおろか今何が起きているのかさえ、理解不能だった。

ここに来る前のことを振り返ってみても、何も思い出せない。それは、混乱状態だからなのか。はたまた、この景色から見るに、何か悪い病気のせいなのか。


そんなことを考えている時、ガチャッとドアが開く音がした。

入ってきたのは、相も変わらず暗い色をした人。

だが、どんなに戸惑う頭でもわかった。彼は医師だ。