危ナイ隣人

換気のためにベランダを全開にした後、キッチンの戸棚からゴミ袋を取り出して、机の上のゴミを突っ込んでいく。


あぁもう、体に悪いからカップラーメンばっかり食べちゃダメだよって前に言ったのに!



黙々と掃除をすること30分強。

ナオくんが仕上げの掃除機をかけ、ようやく部屋はいつも通りの清潔さを取り戻した。



「こんなことなら、うちに帰ればよかった……」


「面目ない」



ソファーの肘掛けに身体を預けてぐったりする私の前に、ナオくんは苦笑いを浮かべながら座り込んだ。


その表情の中に、僅かながらも緊張が読み取れる。



さっきは勢いでぎゅってしたけど……そうだよね、まだ何も話し合ってないんだもんね。


頭から飛びかけていた現状を思い出し、私も姿勢を正す。


ソファーに腰掛けた私が、床に座るナオくんを見下ろすかたちだ。



視線が絡んで、お互いに逃げ場を失って。

お互いに何か言いたげな目をしながら、言葉を探しあぐねている。


どう伝えれば、真っ直ぐに伝わるんだろう。



「茜。あの、さ」


「ね、ナオくん」


「……ん?」



口火を切ろうとしたナオくんを遮って、言葉を放つ。


少し困惑気味に返ってきたのは、甘く掠れた声。

これを聞くのは、この先私だけがいい。


その思いが、私の背中を押してくれる。



「あの話を聞いちゃってから……ずっと逃げてて、ごめんなさい。うちに来てくれたり、連絡してきてくれてたのに」


「いや、それは俺が」


「私、怖くて。ナオくんが傍にいない未来なんて、想像もしてなかったから」