危ナイ隣人

「休み明け、また全員からイジられんだろうな……」



溜め息交じりの声がして、恐る恐る顔を上げると、困ったように笑うナオくんと視線がぶつかった。



「ご、ごめんなさい。私がいきなり来たから」


「謝るのは俺のほうだろ。俺は、お前がここまで来てくれて嬉しかった」



ナオくんが私の手をそっと掬い上げる。


すごく久しぶりに感じる、ナオくんの大きな手。



「帰ろう、俺達のマンションに」


「……うん」



全てが始まったあのマンションに。


道中、手は一瞬たりとも離れなかった。





マンションに帰り着き、久々にお邪魔した403号室は……いつか見た地獄絵図だった。



「な……何これっ!?」



廊下を抜けリビングの扉を開けた私は、絶句した。


机の上に広がるカップラーメンやペットボトルのゴミ。ソファーに何重にもかけられた、脱いだままの服。



なんだこの汚部屋は!



「いやー……ちょっと家事やる気になんなくて」



背中越しに、ナオくんのバツが悪そうな声が聞こえてくる。


けど、にょきにょき生えてきたツノを抑える効力なんか少しもない。



「ナーオーくーん……?」


「ごめんて! すぐ片付けっから」



扉の前に立つ私を避けて、ナオくんがリビングに駆け込む。


ソファーに掛けられた服を丸ごと抱え込んで……あーぁ、洗濯大変だろうに。



ったくもう。なんで大事な話をしようって時に片付けしなきゃなんないのよ……!