危ナイ隣人

「いえ、そんな……」



小さく首を振りながら、心臓が大きく跳ねたのを感じる。


やばい。久々の対面に、今更緊張してきた……!



「迎えに来て、このままどっか行くの?」


「いえ。お迎えって言うか、私がただ押し掛けに来ただけで」


「ふぅん」



あぁ私、今ぜんぜん余裕ない。


気付けば早口になっていた私を、彼は興味深そうに眺めていた。



「いいね、若いって」


「へっ」


「真木、もうすぐ来ると思うからさ。頑張んなよー」



軽快に笑った後、ひらひらと手を振って、男性は歩いて行ってしまった。


あまりの軽さに呆気にとられてしまったけど……ちょっとだけ、勇気出たかも。



頑張ろう、そう思って建物に向き直った時。



「──あ」



ガラス扉越し、廊下の向こうに、愛しい人の姿を見つけた。


彼の瞳もまた、私の姿を映し出す。



ナオくんに会ったら、言おうと思ってたことは沢山あった。


それなのに、ガラス扉が開かれて大きな温もりに包まれた瞬間、言葉よりも先に涙が溢れて。



「……っ」


「ナオ、く……っ」



喉の奥が熱くて、声を放ったら崩れ落ちてしまいそう。


背中に回された腕は力強く、ナオくんの気持ちが流れ込んでくるような。



やっぱり好き。ナオくんじゃなきゃダメだよ。


こんなにも私を弱くさせるのは、ナオくんしかいないもん。



私の想いも伝わればいい。そう思って、私もナオくんの背中に腕を回そうとしたとき──