危ナイ隣人

スニーカーを履いた近藤と塚田くんが先に外に出て、バレエシューズを引っ掛けた真帆が後に続く。


最後に、ショートブーツを履いていたくるみが玄関を出ようとした時、扉の手前でこちらを振り返った。



「くるみ?」



忘れ物でもしたの?


そう思って首を傾げた私に、くるみはふっと目を伏せた。

いつものくるみの雰囲気とは、少しだけ違う様子で。



「余計なお世話かもしれないけどさ」


「うん……?」


「変わっていくものもあるけど、さっきの話みたいに、変わらないものも確かにあると思う。

……それは、真木さんも同じなんじゃないかなぁ?」



くるんとカールしたくるみのまつ毛が再び持ち上げられた時、彼女の表情はすごく穏やかだった。


その丸い瞳に見つめられ、ハッとする。



変わっていくものの中で、変わらないものもある。


それは私達の友情だったり、お兄ちゃんへの揺るぎない信頼だったり。

色褪せないと無邪気に胸を張れるものは沢山あるのに──どうして私は、ナオくんとの絆を信じられなかったの?



「じゃ、また登校日に、学校でね!」


「お邪魔しました」



寒空の下繰り出す4人の背中を、私は何とか送り出した。


玄関の扉が閉まった後も、足が棒になったみたいに玄関先から動けなくて、玄関に立ち尽くす。



脳裏に浮かぶのは、たった1人の男の人。


いっぱい傷ついて、いっぱい後悔して。それでもいっぱい悩んで、私と一緒に未来を生きると覚悟を決めてくれた人。