危ナイ隣人

でも、泊まってく? とは言えないや。


だって私、ナオくんのカノジョだもん。

ナオくんがいるのに、他の男の子に対して、そんなことを言う女になっちゃいけない。


……なんて。

現実から目を背け続けている私に、そんなこと思う資格ないのかもしれないけど。



「塚田くんがこっちにいる間に、また遊ぼうね〜」


「だな! 昴、ギリギリまでこっちにいろよ」


「無茶言うなぁ。みんなが引っ越し手伝ってくれるって言うなら、話は別だけど」


「そんなことでいいなら、いくらでも!」



腰を上げつつ、笑い声は止まない。



嫌だな。

離れがたいな。


みんなとこのままずっと、一緒にいたい。



「……卒業、したくないな」



それはまるで、コップから溢れた水滴が零れ落ちるように、意識の外で放っていた言葉。


4つの視線が一気に向けられて、そこでようやくハッとする。



「って……私、何言ってんだろ。ごめん、変なこと言った……っ」



忘れて、と蚊の鳴くような声で呟いた時。



「茜が、そんなこと言うなんて……」



くるみの、心底驚いたような音が部屋に落ちた。


え、と顔を上げると……え。若干2名、めっちゃ頷いてる。



「御山の口からそんな言葉が聞けるの、学校で俺達だけだろ」


「あーあ、録音しとくんだったな」


「ろ、録音って……からかわないでよ」



あんなこと、言わなきゃよかった。


恥ずかしくなって顔を逸らすと、今度は塚田くんが喉を鳴らす気配がする。