危ナイ隣人

みんな……。


塚田くんの心情を慮りながらも、私達2人の結果を讃えてくれる。

そのことが伝わるから……塚田くんも、少し恥ずかしそうにしながら、嬉しそう。



「ありがとう。

でも太一、俺が言わなくてもちゃんと真面目に授業受けるんだぞ。単位落としたって報告は聞かないからな」


「そんな報告しねぇよ……って、おい。今、そんなこと言う流れだったかぁ!?」



いつもの2人の掛け合いに、場が笑いに包まれる。



中学校で出会った真帆。

高校で出会ったくるみ、近藤。

そして、近藤の友達として出会った塚田くん。


こんなにも、心の底から信頼のおける友達が出来るなんて、想像もしてなかった。


もうすぐ終わっちゃう高校生活は、たぶん、すごく意味のある時間だったんだと思う。





近藤達が買ってきてくれたお菓子を開けて、ミルクティーがなくなったマグカップにはジュースを注いで、ベランダの外が暗くなるまで、沢山たくさん話し、笑い合った。


受験勉強で一緒に過ごせなかった時間の分。

それから、これから離れ離れになって、一緒に過ごせない時間の分を埋めるかのように。



「もうこんな時間」



誰かの声に、みんなが顔を上げる。


壁に掛かった時計の針は、9時過ぎを指していた。



「明日もあることだし、そろそろお開きにしなきゃね」


「だな」



魔法が解けてしまったかのように、部屋の空気が変わる。

少しよそよそしい、名残惜しさを含んだ空気。