危ナイ隣人

好機! とばかりに顔を上げて、私はモニターへと走った。


液晶に映るのは、2つの人影。



「はーい。開けるねー」



オートロックを解除してしばらくすると、再びインターホンが鳴る。



「お待たせー」


「お邪魔します」



黒いダウンを着た近藤と、グレーのチェック柄のコートを着た塚田くんをリビングに通す。

と、真帆とくるみは、さっきまでのオーラをしまって、彼らに笑顔を向けた。



ちょっとちょっとぉ。さっきまでの表情、どこ行ったー?



「2人も、ミルクティーで大丈夫?」


「おう!」


「俺も大丈夫。手伝うよ」



キッチンからの呼びかけると、コートを脱いだ塚田くんが来てくれた。


お、さすが。



「やっぱりイケメンは中身までイケメンだねぇ。スマートだ」


「おいおい、中居。それじゃ、俺がダメなやつみたいじゃんか」


「ん〜? ふふふ」


「笑って誤魔化すなっ」



リビングの方から賑やかな声が聞こえる。


仲良いなぁ。



「ホットでいいよね?」



隣に立ってくれた塚田くんに尋ねると、彼は曲線の綺麗な顎を僅かに引いた。



「マグカップ、勝手にとっていい?」


「もちろん。ありがとう」



ポットに水を注いでいると、塚田くんが声をかけて食器棚からマグカップを取り出してくれた。


5つも取り出すと、この家にあるマグカップが全て出払う。

そのうち2つは、初めて集まった時に買い揃えたものだけど。