危ナイ隣人

「きょ……京香さん!?」



何を突然言い出すんですか。


予想外に飛んだ話を振られて、ナオくんは車を走らせながら苦々しい顔を浮かべる。



「まじでやだわ、お前」


「オホホホ。からかい甲斐あるんだもん、あんた」


「そんなひん曲がったことばっか言ってると、婚期逃すぞ」


「余計なお世話ですぅ〜」



あはは、いつも通りの2人だなぁ。


べ、とナオくんに向かって舌を出して、京香さんは後部座席のシートに再び身を投げた。



マフラーが解かれたその首元には、見覚えのある輝きが顔を覗かせている。


……もしもここに、お兄ちゃんがいたら。なんて。

考えてもどうしようもないことだってわかってるけど、考えちゃうなぁ。




1時間半ほど車に揺られ、小高い山のてっぺんで降りる。



「茜、花持ってって」


「わかった。お水とかは任せていい?」


「あぁ」



2月末の風はまだ冷たくて、容赦なく肌を刺す。


手渡されたお花を片手に、マフラーに顔を埋めた。



「じゃあ直也、お水お願いね。先に行こっか、茜ちゃん」


「はいっ」



今日は、初めて3人でお兄ちゃんに会いに来ました。



「今日も冷えるわね〜。気温だけでいいから早く春になんないかな」


「わかります。でも私、春になっても中々布団から出られなくて」


「気持ちいいもんね。春眠暁を覚えずとはよく言ったもんだわ」



他愛のない会話をしながら、お兄ちゃんの元を目指して歩く。