危ナイ隣人

なんだか腑に落ちてないけど、早く戻んなきゃな。

真帆とくるみが待ってるし、時間があればナオくんとだって回れる。



クラスメートに声を掛けられた塚田くんを置いて、周りからの視線を感じながらも、控え室となっている教室を足早に目指した。



「御山先輩! めっちゃかっこよかったっす!」


「塚田先輩と2人だと、すっごく絵になってたな~」



そんな声を背中に聞きながら歩き、そこの角を曲がれば教室!


キュッと靴を鳴らして角を曲がったところで──一瞬にして肝が冷えた。



「おかえり、“セティ”」



教室の前の廊下で壁に背を預けて立っていたのは、今、一番会いたくなかった人。


白いカットソーにネイビーのセットアップ。いつもとは違うセットがされた髪の下で、眼光鋭くこちらを見ている。

しかし口元だけは不気味に持ち上げられたその後ろで、本郷さんと美奈さんが「あちゃー」といったような表情を浮かべていた。



……ほんとその通り。あちゃー、としか言いようがない展開だよ。

でも、今この状況で、そんな楽観的な反応は出来ない。



蛇に睨まれた蛙のように、急ブレーキをかけたまま身動きがとれないでいる私の腕を、強い力が掴む。



「来い」



有無を言わせず腕を引いて歩き出した大好きな人の声は、疑いようもないほど怒っていた。





「……っ!」



無言のままずんずん廊下を歩いた先で、ナオくんはある教室の扉を開けた。


2年生と3年生の教室が入っている本校舎ではなく、1年生のクラスが主に入っている西校舎の空き教室だ。