危ナイ隣人

それは僅かに温かく、ブロンドの髪が視界にちらつく。



「…………」


「…………」



目を大きく見開いて、思わず固まってしまいそうになる。


客席のお客さんも、舞台袖のクラスメート達も、息をするのも忘れているかのような空気感。


私の肩をとんと押して私を離れさせた塚田くんは、精巧な美しさを放ちながら口角を持ち上げた。




「なん、で……」



絞り出せたのは蚊の鳴くような声で、きっと私は今、とてもみっともない顔をしている。


私と視線を絡めた塚田くんは、吹き出すようにして小さく笑う。



「これ以上踏み込んで、戻れなくなったら困るから」


「え──」


「“嬉しい。謹んでお受けいたします”」



私の反応を遮るように、ローラの最後のセリフが放たれた。


瞬間、場を支配していた魔法は解け、舞台袖から慌てたようにしてクラスメート達が出てくる。


私達を囲むようにして拍手が送られ、マイク越しのナレーターの声によって劇の幕が下りる。



いつの間にかいっぱいになっていた客席からは惜しみない拍手が送られ、私達の本気すぎる舞台発表は大成功を収めた。





「塚田くん!」



舞台袖に捌けたのと同じタイミングで、前を歩いていた塚田くんを呼び止める。


塚田くんは視線だけをこちらに向けると、「どうしたの?」と白々しく応えただけで、先を歩いていく。



いやいやいや! わかってるでしょ!



「なんで……?」



私の問いに、再び塚田くんがこちらを一瞥する。