危ナイ隣人

カミラの言葉にローラは顔を上げ、駆け出した。


一旦舞台袖に下がり、照明も落ちて……再び明るくなった時、ローラもまた舞台に上がる。



いよいよクライマックスだ……!


馬役の松井くんを引きながら、私も舞台上に出る。

傷だらけで戦場に疲弊した演技をしながら……って、なかなか難しいんだ、コレが。



「“セティ!”」



帰ってきたセティの元に、ローラが駆け寄る。

そんなローラに気付いたセティは、驚きながらもローラを受け止める……んだけど、実際の体格差もあって、セティが抱き留められているような格好になる。


ここで客席がどよめいた。


そうだよね。

私もすごく緊張してる。練習やリハの時なんか、ブリキ人形みたいにぎこちない動きを披露しちゃってたもん。



「“どうしてみんなと帰ってこなかったの。心配したのよ”」


「“申し訳ございません。戦場に向かう道中、追加任務を言い渡されまして。片付けていたら、帰ってくるのが遅くなってしまいました”」


「“追加任務……?”」


「“はい。詳しくは言えませんが、1人でこなさなければならないものでした”」



ローラを抱えている設定の腕に、力をこめる。


ここも演技指導が入ったところ。脚本にも、そう書いてあったんだよなぁ。



「“任務はとても危険なものでしたが、国王様に言われたのです。この任務をやり遂げれば、あなたとの結婚を認めると”」



緊張はとっくにピークに達している。


心臓が今にも飛び出ちゃうんかじゃないかってくらいバクバクしてる。


物語最大の山場であるキスシーンが控えてるんだもん。