危ナイ隣人

私も、さっきメイクしてもらってる時に、メイク班の岡本さんから教えてもらったんだけどね。



「ね、塚田くん。後で写真撮ろうよ」


「……まぁ、いいけど。御山さん、なんだかんだで結構楽しんでない?」


「まぁね。もうここまで来ちゃったし。楽しまなきゃ損だって、ある意味開き直り!」



得意げにVサインを向けると、彼の強張っていた頬が少しだけ緩む。



「そうだね。ここまで来たら腹括るしかないか」


「仮に失敗しちゃっても、切腹する時は一緒だよ」


「笑顔でさらっと怖いこと言ったね」


「だって、運命共同体みたいなものじゃん。主演と準主演なんだしさ」



交互に指をさしながら真面目な顔で言うと、頭上で空気の震える音がした。



「だったら、意地でも失敗できないな」



ブロンドヘアの奥で弾けた塚田くんの笑みは、レア度が高いからこそ破壊力が凄まじい。


あぁ、今日でまた塚田親衛隊増えるんだろうなぁ……。





放送部のアナウンスと共に、いよいよ幕が上がった。


森の奥で暮らしているローラの登場シーンから、物語は始まる。



ある日、ローラの元に兵士がやって来て、無理矢理お城へと連れて行かれる。

連れて行かれたのは王座の前で、初めて見る国王から、亡くなった母親がこの国の王女であったことを知らされるんだ。


王女亡き今、正当な王位継承者は国王の娘・パトリシアの娘であるローラだと告げられる。