危ナイ隣人

高校最後の文化祭、私が気兼ねなく友達と回れるように気を遣ってくれているのかもしれないな。


後で合流できそうなら合流しようって話になったから、真帆達と回った後にでも、2人で回れたらいいな。





時間は刻々と流れて、遂に私達の出番が近付いてくる。



「わぁ……っ」



長い髪を後ろで束ね、衣装係の子達が頑張って作ってくれた騎士の服を身にまとって、更衣場所としてスペースを区切るパーテーションの向こうに出ると、周りから声が上がった。



「茜ちゃん、すっごく似合う……!」


「騎士なのに、可愛すぎる!」



口々に褒め言葉が飛んできて、戸惑う私は苦笑いを返すことしかできない。



衣装合わせで何度か着たけど、化粧とか髪型とか、全部完璧に施すのは初めて。


こんなキラキラな服を着る日が来るなんて……夢にも思わなかったなぁ。


一応ヒーロー的立ち位置の騎士なのに、天パのせいで、髪の毛ふわっふわだよ? 

あんまり強そうに見えないけど、いいのかなぁ。



「ねぇねぇ茜ちゃん、後で写真撮ろうよ! すっごく似合ってるから、残しときたい!」


「えっ、じゃあ俺も! 劇中じゃあんまり絡まないから、準主役との写真欲しい!」


「えっ、ずるい! うちも!」



わらわらと私の周りに集まって、みんながスマホ片手に写真を望んでくれる。


こういう風に、話題の中心になることは苦手だけど……みんなが頑張って作り上げてくれたものを身につけて、みんながこんなふうに言ってくれて。