危ナイ隣人

どうしても気が緩んじゃうのは、何となく……ほんとに何となくだけど、お兄ちゃんに似た雰囲気を感じるからなのかもしれない。


変だな。お兄ちゃんはこんなぶっきらぼうで適当な話し方しなかったし、全然似てないのにな。


顔だって、お兄ちゃんの方が何倍も何十倍もかっこいいのに。なんでかなぁ。



「お隣……っと。真木、さんは、おいくつなんですか?」


「俺? え、いくつだっけ」



話をこれ以上深掘りされたくなくて、質問を投げ返してみた。


お隣さん自身のことを聞いたのに、お隣さん自身がわかってない様子。



「え、嘘でしょ?」


「ちょ、タンマ。ど忘れしただけだって」



自分の年齢ど忘れとか……。


顔を顰めて指折り数えている姿に、警戒心や恐怖心が和らいでしまう。


敬語使わなきゃって思うのに、反射的にタメ口が出ちゃうのはきっとそのせいだ。



「思い出した、24だ」


「年齢って思い出すものなんですか」



なんだかおかしくて、思わず笑みが溢れてしまった。


お隣さんの視線が向けられたことでハッとして、慌てて口元を手で覆う。



「ごめんなさい、笑うなんて失礼でした」