危ナイ隣人

ソファーはL字型のおっきいやつで、見た感じちょっと高そうなのに、こんなにされちゃってかわいそう。

ソファーに同情したのなんて、生まれて初めてだよ。



「カップラーメンのゴミばっかりあるけど、自炊しないんですか?」


「全く。べつに出来ないわけじゃねーけど、片付けがめんどくさい」



あぁ、確かにそんな感じ。

納得して頷くと、怪訝そうな視線を送られた。



「俺、明日7時45分には家出るけど、お前は?」


「私はもうちょっと早く出ます。制服取りに帰らなきゃだし」


「……制服?」



私が発した言葉が、お隣さんの中で引っ掛かったらしい。


その意図がわかんなくて、私の方が首を傾げる。



「制服って、お前今いくつ?」


「16です。高校2年生」



Vサインを目の前で掲げると、お隣さんは目を瞬かせた。



「若いとは思ってたけど、JKかよ。てことは、一人暮らしじゃねぇの?」


「一人暮らしですよ」



何の気なしに答えてから、後悔する。

こんなにベラベラ自分のこと喋っちゃって、大丈夫なのかな。


今のところ危害を加えられそうな雰囲気はないけれど、それでも注意しなくちゃいけない人のはずなのに。